「無生物主語」とは、人間以外のものが主語になっているものをいいます。日本語ではあまり見られませんので、ちょっと違和感があって理解しにくいものです。
The fog prevented them from seeing very far.
「霧のため、彼らはあまり遠くまでは見えなかった」
この文では、主語がthe fog「霧」になっています。そして、動詞のpreventは「妨げる」という意味で、このような無生物をよく主語に持つ動詞です。
日本語の発想では、次のような文になりますよね。
They could not see very far because of the fog.
意味は同じですが、発想が異なります。これこそが文化の違いなのです。これを理解することがまさに外国語学習の一つの大きな意義です。
These pictures reminds her of the good old days.
「これらの写真を見ると、彼女はあの古き良き時代を思い出すのだ」
この文の動詞remindも、しばしば「無生物主語構文」で使われる動詞です。「~に思い出させる」というややこしい意味をもっています。しかし、「思い出させる」をそのまま日本語の訳に使うと、大変ぎこちないので、上のように人間を主語にして日本語にする方がわかりやすくなりますね。
What makes him think that he is right?
「どうして彼は自分が正しいとおもうのだろうか。」
上の文では、主語に疑問詞のwhatが使われています。動詞のmakeは使役動詞で「~させる」という意味です。「何が彼に思わせるのか」というそのままの訳を、日本語らしくすると上の訳になりますよね。
いかがでしょうか。「無生物主語構文」、けっこう曲者ですね。
もっと複雑な文をみてみましょう。
How he drives a car always made his family nervous.
「彼の運転の仕方に、家族はいつもいらいらした」
この文の主語は、How he drives a carという「疑問詞節」です。「疑問詞節」は名詞節なので主語になれるのです。そして「無生物主語」として使われます。
かなり複雑な構造になりました。
でも、このような言い方がまさに英語らしい表現、なのです。だから、私達はそれをうまく処理できるようになることが必要ですね。
ぜひ活用してみてください!