以前に読みやすい原書を紹介した中に、マリオ・プーゾォの「The Godfather」がありました。今回は、その中で特に印象に残っているセリフを紹介します。
それは、「I’ll make him an offer he can’t refuse.」というものです。このセリフは、ドン・コルリオーネが、息子同然に思っているハリウッドの歌手で映画俳優のジョニー・フォンテーンに向かって言うセリフです。
ジョニー・フォンテーン(フランク・シナトラがモデルとも言われている)はハリウッドで大成功しているのですが、ある大物映画プロデューサーに個人的な理由で嫌われており、欲しい映画の主役の座をもらえないとドン・コルリオーネに訴えます。ドンは、幼い時から可愛がってきたジョニーの願いをかなえてあげたいと思いますが、ジョニーは、この映画プロデューサーの力はさすがのドン・コルリオーネでもどうしようもないだろうと言うのです。
そこで、ドン・コルリオーネは言います。
「He’s a businessman. I’ll make him an offer he can’t refuse.」
日本語では、「私は、彼が断れない申し出をするつもりだ。」という意味です。マフィアのドンがこう言ったら迫力がありますね。
英語の解説をします。まず、構文としては「make 人 an offer」で「人に申し出をする」という形です。文型は、第4文型SVOOで、2つの目的語を並べて表現します。最初の目的語が「人」、後ろの目的語が「もの」になります。
また、関係代名詞目的格の省略が行われていますね。すなわち、offerとheの間に、関係代名詞which(またはthat)が省略されていますが、話し言葉では省略する方が普通です。
ということで、本来であればビジネスの世界で使われそうな表現が、マフィアのボスによって効果的に使われている、まさに名台詞ということになります。