大学入学共通テスト(英語リーディング)についての感想です。量が多過ぎる!

先週、初めての大学入学共通テストが行われました。早速、翌日の新聞に掲載された問題を解いてみました。その感想です。

1 英文の質

ほとんどの問題で同程度のレベルの英文でした。英文の質としては上質で、正統的な英文ばかりです。難易度としては、それほど高くありません。本塾で扱っている英文問題よりもかなり易しいレベルでした。その意味では読み易かったかなと思います。

2 英文の量

英文の量は、かなり多いです。昨年の入試センター試験では、全問題で約2800語でしたが、今回は一挙に約3900語に増えています。これは、単純計算で約1,4倍の量になったことになります。試験時間が80分で変わっていないことを考えると、これまでよりもかなり速く読まなければならないことになります。すなわち、共通テストは受験生に高い読解スピードを要求している、ということです。

3 英文の内容

若者向けの話題が多く扱われています。第1問は、スマホのテキストメッセージを使って、ルームメイトに忘れ物を取ってきてというやり取りと、人気バンドのファンクラブの入会の要領が出題されていました。第2問では、文化祭でのバンドコンテストの採点について、採点表や審査員のコメントが出題されていました。

一方、話題の選択で首をかしげるものもありました。第5問では、芸をする牛の話を扱っています。あまり聞いたことのない話なので、受験生の中には読みながら戸惑った人も多かったと思います。第6問では、糖分の摂取による健康への影響が扱われていますが、聞いたことのない人工甘味料の名前が4つも出てきて、混乱した人も多かったでしょう。

4 全体の感想

(1)格調高い英文や内容のある英文がない

英語学習では、「なるほどー」とか「いい話だな」という読後感をもつ英文を読むことも大事だと思うのですが、そのような問題は全くなく、ただひたすら情報を英文の中で得るという問題ばかりでした。解きながら同じような作業をさせられている感が強くあり、うんざりしました。このような力だけを英語力に求めるというのは問題だと思います。

(2)英文中の情報処理能力が求められている

英文や表、グラフによって必要な情報を、手早く収集し処理する力が求められています。

まずは、単純に英語を速く読みながら理解していく力が必要です。それほど難しい英文ではありませんから、しっかりとした語彙力と文法力を身につけながら、英文構造の複雑な英文を読む演習を多く行えば、身につけられる力です。

次に、読んだ内容を整理して、多くの情報から求められている答をすばやく見つけ出す力です。英文の量が多いので処理しなければならない情報も多くなります。読みながら同時に処理する、という英文読解力が必須ですね。この力を身につけるのも、実は上記の練習によってできます。

5 今後の対策

(1)語彙力

語彙力が絶対的に必要ですが、それも読んだ瞬間にその語のイメージがひらめくレベルの語彙力が必要です。そのためには、長文を多く読み、その中で出てきた語彙(単語と熟語)を辞書の中でどれがぴったりするのかを吟味しながら身につける、という作業が必要です。このようにして身につけた語彙力しか本番では役に立たないからです。

(2)文法力

文法力は、英文の構造を瞬時に読み解くためにあるのです。英文の中で、それぞれの単語がどんな働きをもってそこにあるのか、をわかって初めてその英文の意味がわかります。英文法には多くの項目がありますが、最終的な目標は、文法項目が頭の中で全て融合し、英文を理解するときにほんの一瞬光って使う、という力を身につけることです。少々難解な表現になりましたが、要するに無意識のうちに文法を使うことができる力を身につけなければならない、ということです。

(3)複雑な構造を持つ英文を数多く読解する練習

上記の力を身につけ、同時に速く英文を読む力を身につけるには、複雑な構造を持った英文を数多く読む経験を積むことが必要です。すなわち、どこがどうなっているのかわからない英文を読み解く演習です。その演習においては、まず、一つ一つの単語の意味や品詞がわからなければなりません。同時に、その文の文型、修飾語、接続詞や関係詞などがどのように結びついているかなどを、処理しなければなりません。それらを必死で考え、読み解こうとする脳の動きを数多く経験することによって、真の英文読解力が身につくのです。

以上が、今回の「大学入学共通テスト」英語リーディングを解いての感想でした。結局、真の英語力を身につければどんな問題が出ても対応できます。永久に続く英語力を目指して頑張っていきましょう!

 

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